(対象記事 2014年10月20日付夕刊~11月5日付朝刊)
筆者:横浜国立大学ジャーナリズムスタジオ1年B班 阪口奈央
10月20日、第2次安倍政権の看板ともいえる小渕経産相と松島法相の2人の女性閣僚がダブル辞任した。朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の大手3紙は、同じ日に閣僚が2人辞任するという衝撃的なニュースをほぼ連日取り上げた。
朝日、毎日、読売はいずれも、10月21日付朝刊に辞任に関する社説を載せている。毎日は一本社説でこのニュースを取り上げており、社としてこの問題を重くとらえているということがうかがえる。「失態を謙虚に反省せよ」という見出しの下、「首相や自民党が襟を正す時」とし、この問題を批判している。朝日は「閣僚同時辞任 首相が招いた異常事態」と題し、任命責任のある首相を主に批判しているという印象を受けた。読売は、「早急に政権の態勢を立て直せ」とし、首相の任命責任を問うも、全体的に小渕氏の監督責任をより重視したものであった。
また毎日は10月21日付朝刊第1,2社会面で、小渕氏に対する同世代の母親達の思いを掲載していた。さらに小渕氏が売却したはずの家に小渕氏の母親が住んでいるという問題点を指摘し、調査報道の成果が読み取れた。朝日は記事と図が対応しやすいという点で読みやすかった。読売は唯一この問題について、10月21日付朝刊、22日付朝刊の2日間にわたって「衝撃ダブル辞任」という連載を行った。この連載において読売は、解散の可能性や野党の攻勢など、「ダブル辞任が国会に与える影響」に焦点を当てている。
このダブル辞任を受けて朝日、読売は世論調査を行い、その結果を載せている。朝日は10月27日付朝刊で内閣支持率が3%増えたとし、世間が安倍政権に持つイメージがさほど変わっていないということを伝えている。一方、読売は10月28日付朝刊で内閣支持急落という記事を載せている。読売新聞の調査では支持率は9%減少している。2社の世論調査に若干の食い違いが見られた。
小渕氏、松島氏の政治資金問題を皮切りに、「政治とカネ」問題が後を引かない。与野党の対立は深まるばかりである。そんな中で、安倍首相が他の複数紙も報じているにもかかわらず、朝日新聞のみを名指しし、「撃ち方やめ」発言はねつ造だと述べた。朝日は11月1日付朝刊社説でこの問題について、ねつ造ではないと主張している。毎日は11月2日付朝刊社説で、安倍首相の発言に問題があることを言及し、一国の首長がただ1つの会社を名指したことについて、相当厳しく批判している。
今後この政治資金問題がどのように収束していくのか、またこの問題をもとに内閣解散という声もあがっているが、本当に解散に向かっていくのかどうか、各新聞社にはしっかり報道してほしい。
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