2014年12月19日金曜日

黒人暴動 米全土に拡大



横浜国立大学ジャーナリズムスタジオ1B班井手千夏

(対象記事:1126朝刊123朝刊

今年8月米ミズーリ州ファーガソンの住宅街で武器を所持していなかった黒人少年ブラウン氏(当時18歳)を白人警官が射殺した。24日射殺した白人警官は不起訴とされ、この不起訴に黒人住民らが反発し、暴動が拡大。抗議デモはロサンゼルスやニューヨークなど全米各地に広まった。朝日、毎日、読売の大手3紙は主に、1面、国際面などでこの記事を掲載した。     

各紙黒人大統領として自ら差別問題に取り組むオバマ大統領の声明を掲載した。朝日は26日朝刊11面でオバマ大統領は「これはファーガソンだけではなく、米国の問題だ」という声明を出して平和的な抗議を求めたとした。毎日は同日朝刊5面で、不起訴決定を受け入れるよう訴える一方「法執行機関と有色人種の間に深刻な不信がある」と述べた。また読売は同日朝刊8面で「米国は法治国家であり、大陪審の決定を我々は受け入れる必要がある」という声明に対して、大統領は人々に冷静な対応をするよう呼びかけていると述べた。

朝日は26日朝刊11面でブラウン氏の両親の「非常に残念だ」「暴力に暴力で応えるのは間違っている」、毎日は27日朝刊2面で「暴力に暴力で報復することは適切ではない」という声を掲載した。当事者の家族のコメントを掲載することで読者の興味を惹きつけた。毎日は27日夕刊10面で、白人女性が町中に絵を描き、人種を超えて共存することを願う活動の様子を載せた。黒人によるデモだけでなく、白人による活動に注目した点はおもしろい切り口であった。読売は26日夕刊3面で、国連のフセイン人権高等弁務官の声明を掲載し、米司法制度の公平性に懸念を示したと述べた。国連の声明を掲載することで、この事件がいかに世界的に重大な出来事であるかを再認識させた。また27日朝刊2面でデモ隊と州兵がにらみ合う写真が掲載されており、見ているこちら側にも緊迫感が感じられ、印象的であった。3紙に共通して、市民の意見を多く載せており、市民目線の報道は良かった。

 しかし3紙とも多くの日本人には馴染みのない米国の司法制度である「大陪審」という言葉についての説明がなく残念だった。読売は、26日朝刊8面で大陪審の人種構成について説明していたものの不十分であった。

この事件は、今なお米国のみならず、世界中で差別が根絶していないことを象徴する大きな出来事であった。今後も3紙には、この事態がどう収束していくのか、更なる報道記事を期待する。

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