2014年12月2日火曜日

特定秘密保護法 課題残る運用基準

(対象記事 1014日夕刊~1018日夕刊)
筆者:ジャーナリズムスタジオ1年A班 浅井優奈

    政府は昨年末成立した、特定秘密保護法の施行を12月10日とする政令と、法の運用基準を閣議決定した。
    この決定に関して15日付朝刊では、毎日が6ページ、朝日が4ページ、読売が2ページにわたって取り上げた。朝日と毎日は1面トップ記事に掲載、毎日と読売は社説に取り上げており、各社ともにこのニュースに対する関心度の高さがうかがえた。
    社説では毎日と読売が対照的だった。毎日は「恣意的運用を防げない」という見出しで、民主主義の原則が十分に尊重されないままの施行に改めて反対すると主張し、明確に反対の立場を示した。監視組織についても、高い独立性をもったアメリカの情報保全監察局長を挙げ、日本の管理監の権限不足を指摘した。そして最後に、臨時国会で運用基準について洗い流す努力を、と結んでいる。
    一方で読売は「『知る権利の尊重』を貫きたい」という見出しで、容認する立場をとった。国民の知る権利を守りつつ、機密情報の漏洩防止と両立させることが肝要である、と前置きしたうえで、運用基準については「重層的な歯止め規定を盛り込んだと評価できる。現状と比べれば、手続きの透明性が高まることにより、身勝手な運用がしにくくなるはずだ」と評価した。また政府の情報保全諮問会議の座長が、読売新聞グループ本社会長・主筆の渡辺恒雄氏であることからも、読売が法律容認の立場だということがうかがえる。
    朝日は、分量的にも大きくこのニュースを報じているものの、社説には取り上げていなかった。この法律をめぐっては様々な議論があるのに、それを明確にしないことは言論の放棄も同じといえる。社説に取り上げ、社の意見・立場をしっかり示してほしかった。
 最後に、各紙掲載記事の内容を比較する。毎日は地方議会が批判していることと、秘密指定に向けた準備に追われる各省庁の状況を詳しく載せたことが、他社にはない情報でよかった。それから、政府関係者などの意見まで詳しく書かれていたので、説得力があるように感じた。また読売は、毎日と朝日がともに報道した、パブリックコメントや秘密法案を題材にした法廷ミュージカル、市民による抗議デモについて全く触れていなかった。このことからも、一貫して法律容認の立場をとっていることがうかがえる。朝日は、写真や市民の意見を多く載せていて読みやすかったが、その分、論に対する説得力に欠けるように感じた。また、三紙とも共通して特定秘密の指定や管理の流れが図になっていて分かりやすかった。

0 件のコメント:

コメントを投稿