2014年12月11日木曜日

沖縄県知事選 民意を反映した結果に


                     (論評対象:20141117日付朝刊~19日付朝刊)

               横浜国大ジャーナリズムスタジオB班 足立冬馬

 

 20141116日に投開票された沖縄県知事選で、米軍普天間飛行場の辺野古移設反対を謳う翁長雄志氏が当選した。これは、辺野古移設に反対であるという沖縄県民の民意がはっきりと表れた結果である。朝日、毎日、読売の大手3紙はいずれも1面や社会面などで大きくこの選挙を報じた。

 各紙ともにこの選挙結果について1117日付朝刊の社説で取り上げた。朝日は「辺野古移設は白紙に戻せ」という見出しの下、一本社説で移設について言及した。辺野古移設か普天間の固定かの二者択一に固執し、代替案を無視する政府の手法は適切ではない、との批判を交え、代替策を考えるべきだとした。毎日も同じく一本社説で「白紙に戻して再交渉を」という見出しの下、移設に対して否定的なスタンスをとった。また同じ社説の中で、本土の人間の沖縄に対する関心が薄い、ということや、米国内でも移設に反対意見が出ていることなどを述べた。朝日と毎日は辺野古移設に対して否定的なスタンスをとっている点で共通している。

一方読売は「辺野古移設を停滞させるな」という見出しで社説を載せており、米軍基地の辺野古移設は現状最も現実的な方法であるとし、移設容認の姿勢を見せた。これは朝日や毎日とは正反対のスタンスであり、ここまではっきりと社の姿勢の違いがみられたのは興味深かった。
 ここから各紙の特徴に言及していく。朝日は17日付朝刊1面で、今回の選挙で敗れたのは政府と本土である、という趣旨の、那覇総局長の論文を掲載した。総局長の論文を載せていたのは朝日のみだった点で評価できる。毎日は17日付朝刊29面の翁長氏の人となりに焦点を当てた記事や、同じ面で載せていた我部政明琉球大教授の意見の中の「仲井間氏のオウンゴール」という言葉など、他社にない切り口が興味をそそった。読売は17日付朝刊38面で辺野古商工社交業組合長の意見を掲載した。辺野古反対の動きの中で振興策に対する不安があることを示唆しており、振興策の視点から地元民の意見を取り上げることで切実な問題であることを実感させた。

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