対象記事:11月19日朝刊〜11月26日夕刊
筆者:横浜国大ジャーナリズムスタジオA班 釜堀美里
社説では、三社共通してアベノミクスの話題を大型社説で取り上げており、経済問題への高い注目度が伺えた。一方で、自民と民主の公約が発表された25日、26日の社説では、公約が抽象的であるとの批判も共通して見られた。また各紙ともに、原発問題や安保などにも言及、毎日は23日、24日に原発再稼働と集団的自衛権についてそれぞれ大型社説で取り上げており、他社よりこれらの話題に力を入れている印象を受けた。原発問題に関しては、読売が24日社説で、経済安定のためには電力供給の安定が不可欠とし、各党エネルギー問題について話し合い、党の考えを発信すべきだという注文をつけた。さらに、各社ともに憲法改正の話題についても触れた。朝日、毎日は首相の改正を軽視する姿勢を批判したが、反対に読売は「今後の課題はどの条項をどう改正するかだ」などと改正を推進させる姿勢を見せた。また朝日は、23日社説で与党公明党について取り上げており、他社には無い視点が評価できた。
朝日は他に、論説主幹や特別編集委員の論文を掲載、内閣解散を今日の日本政治の重要な節目と捉えていることが分かる。特に21日朝刊1面の「社会の亀裂をつなぐ政治を」という論説主幹の論文は、まず民意の統一を図る海外の政治と比べ、現在の日本政治は民意を求めずに進めているなど、海外との比較から解散を批判しており興味深かった。
また解散に伴い、読売と毎日は2本、朝日は1本の連載を行っている。読売の24日から開始した連載「視座」は、毎日1人の識者たちが専門の視点から政治の現状とその解決策を示していた。他社と異なり、批判に終わらず具体的な打開策を提示した点は評価できた。毎日の20日~25日に掲載された連載「大義の陰で」は、生活への影響など、国民に密着した内容を取り上げていた。解散による影響を身近に感じることが出来る良い記事だった。
各紙で目を引いた記事として、朝日は20日朝刊38面で、選挙費用を他の困窮している事業に回した場合の利益を述べて解散を批判した。また読売の25日朝刊17面の特別面では、豊富な図とともに安倍政治の2年間をわかりやすく解説していた。普段政治に関心の無い国民は多いので、このような解説を掲載しているのは評価できた。毎日は他社より解説の少ない印象を受けたので、コラム「なるほドリ」などでさらに説明を増やすべきと感じた。
衆院選の投開票は12月14日に行われる。国民が今後の日本政治について熟考した上で投票できるよう、各紙には今後とも幅広い視点からの情報提供を期待したい。
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