2015年1月22日木曜日

迫る衆院選 国民に考える材料を



(対象記事:12月4日朝刊~12月10日朝刊)
横浜国立大学ジャーナリズムスタジオ1年A班 阪口奈央

 12月14日に投開票が行われる衆院選に向け、各社は連日社説にて国民に今回の選挙に投票するうえで考えるべき点を提示している。

 原発問題について、読売は8日社説で「安易な原発ゼロは無責任だ」という見出しの下、原発問題に関する各党の公約が割れているということに言及したうえで、再稼働を着実に進めたいという考えを示している。自民党が再稼働実現に着実に取り組む姿勢を示したことを、深刻な電力事情を考慮した判断であると評価している。一方で、民主党が責任ある避難計画がなければ再稼働すべきでないと訴えていることに対し、再稼働のハードルをいたずらにあげることにはならないかと批判している。

 安全保障問題について、朝日は4日社説で「停戦前は無理筋だ」と題し、中東ホルムズ海峡での自衛隊による停戦前の機雷除去が可能になるかどうかについて触れている。安倍首相と公明党の解釈にズレが出ていることに注目した。さらに、安倍首相の想定自体現実味が乏しいとの見方があり、選挙中だからこそ首相は有権者に向けて「中東での掃海は無理だ」とはっきり語ってはどうかと述べている。また、毎日は9日社説で「沖縄の基地 民意から目をそらすな」とし、衆院選で沖縄米軍基地移設問題についての議論が盛り上がっていないことを指摘した。2社は異なる方向からではあるが、安保問題についても考えるべき要素があることをきちんと伝えている社説だと感じた。

 また、3社は10日施行された特定秘密保護法について同日社説を載せている。朝日は見出しを「『不特定』の危うさ」とし、「特定秘密」は行政の恣意的判断の余地を残しており、いま改めて問われるべきだとした。毎日は「息苦しい社会にするな」と題し、権力から独立して国民の「知る権利」を守るべきであり、さらに報道機関の責任と役割が一層問われる場面だと自覚したいとしている。一方、読売は「他国との情報共有不可欠だ」とし、秘密法の施行は他国との信頼関係を築くうえで重要であると強調した。また、国民の懸念が根強いことにも触れ、安倍首相や関係閣僚の国民への説明を求めると同時に国会の責任にも言及している。

 選挙戦も終盤に差し掛かり、各社それぞれの視点から国民に判断材料を提供している。政党は自らの政党に有利なことしか話さない今、新聞各社が批判的な目を持ち国民に考えるべき点を提示していくことは重要である。今後投開票が行われた後も、原発問題や安全保障など問題は山積している。各社選挙後の動きもしっかり報道してもらいたい。

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