2015年1月30日金曜日

仏週刊紙襲撃事件 今後の行方は


仏週刊紙襲撃事件 今後の行方は

(対象記事:115日朝刊~121日朝刊)

横浜国立大学ジャーナリズムスタジオB班井手千夏

 

フランスの政治週刊紙「シャルリー・エブド」のパリ本社が17日に銃撃されてから、約二週間がたった。フランスでは表現の自由と宗教の摩擦を巡る今回の問題について世論調査が行われ、賛成・反対それぞれ約半数で、国内でも意見が二分している。朝日、毎日、読売大手三紙は、連日この事件やそれに関連する出来事について大きく取り上げた。

三紙とも16日に、朝日は19日にも社説を掲載した。朝日は「自由を貫いてこそ」、「境界を超える想像力を」という見出しのもと、表現の自由を行使するには節度と思慮が必要だと指摘した。毎日は「他者を尊重する心も」と表現の自由を考え直すよう主張した。読売は「多様な価値観受容する社会に」と民主主義の基盤は様々な価値観を尊重する精神だと論じた。

次に各紙で特徴的だった点を挙げていく。朝日は国内でも様々な意見があるトルコを取り上げた。16日朝刊11面でトルコのダウトオール首相が「報道の自由は侮辱する自由を意味しない」と風刺画を掲載した出版社を批判したこと、また19日朝刊7面でトルコのジャーナリスト、アスル・アイドゥンタシュバシュ氏が「イスラム教徒は我慢すべきだった」と述べたことを掲載した。毎日は表現の自由が行き過ぎていることへの注意が多かった。また16日朝刊8面で、預言者を描いてはいけない理由などイスラム教の教えについて解説しており評価できる。読売は17日夕刊9面の「週刊KODOMO新聞」のコーナーでこの事件のことを掲載し、分かりやすい言い回しや四コマ漫画で子供にも理解できるようにとの工夫がみられた。19日朝刊7面ではフランスで2007年までテロ犯罪捜査の指揮を執り、また容疑者の一人を10年前に聴取したことのあるジャンルイ・ブリュギエール元判事との会見を載せた。容疑者が獄中で過激派に転じたことや過激派は完全隔離する必要があるなどのコメントを掲載し、他社にはない切り口で興味深かった。

共通点として、このテロを受けて各紙とも表現の自由について論じている。また毎日は16日夕刊8面で世論調査で仏大統領の支持率がアップしたこと、読売は16日朝刊2面で仏大統領のテロへの対応を評価した人が9割近くいたことを載せ、このような大きな出来事がいかに一国のトップの評価につながるかをうかがわせた。しかし、各紙とも日本のテロに対する姿勢についての記事がなく、日本の対応や考えについてもっと詳しく報じてほしい。

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