2015年1月28日水曜日

戦後70年、今後の展望は

(評論対象:201511日~15日の社説)
横浜国立大学ジャーナリズムスタジオB班 浅井優奈

    年が明け、日本は戦後70年という節目を迎えた。朝日、毎日、読売の大手三紙昨年を振り返りながら現在日本が抱える課題について今後の展望を社説に掲載した。各社共通して取り上げた内容としては、東アジア関係安倍談話、日本経済が挙げられる
・東アジア諸国との関係改善について
    日韓基本条約調印から50年。未だ残る「歴史」が東アジア諸国との関係改善を阻んでいる。朝日は1「自虐や自尊を超えて」との見出しを掲げ、自国中心の歴史認識をやめ、歴史を世界全体の動きとして捉えることが必要だと指摘した。また毎日1「脱・序列思考のすすめ」との見出しで東アジアの力関係の変化を受けとめ、「序列よりも並列」という認識をもとに立ち位置を見つめなおすことが重要だとしている一方読売3歴史問題を前面に出して日本に厳しい外交姿勢を示す中国と韓国を注視する必要があると指摘した特に中国が力による戦後秩序の変更を図ろうとしていることを危惧している。慰安婦問題では、事実に反する歴史認識を広げる反日宣伝に対抗するためにも対外発信力を高めたいと述べ強気な姿勢を見せた。
・安倍談話「未来志向」
    戦後70年にあたり、安倍首相が8月に新たな談話を出す。過去村山政権や小泉政権時代に植民地支配と侵略により多くの国に多大の損害と苦痛を与えたとして、反省の意を表明した。今回の談話について日は4日、読売は3日に首相が述べる「未来志向」を大切にし、過去の反省を踏まえつつ、将来に向けて世界の平和と安定に一層貢献する方針を明確に示すことが大切であると論じた加えて朝日は3、未来志向を述べるときは過去と真剣に向き合っていることが前提なので、まずは首相が歴史観を示し国会で論じることが不可欠であると指摘した。
脱デフレ目指す日本経済
    朝日は5「暮らしを守る脱デフレに」と題して、低所得者が増加している現在、物価上昇にこだわりすぎず中小企業の生産性を高める作業が大切であると強調したまた読売は5「アベノミクスの真価問われる」との見出しで、アベノミクスの基本戦略を評価したうえで、好循環経済への流れが目詰まりを起こしていることが問題であると指摘した。企業は人材や設備への投資を積極的に行う攻めの経営に転じ、成長戦略を確実に実行すべきだとした

 次に、各社特徴あった記事を挙げる。毎日は3日、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏著作の21世紀の資本」が話題になった「ピケティ現象」を取り上げ、日本経済について言及した。広がる格差問題を指摘し、ピケティが提唱する富裕税は非現実的だとしても、これをきっかけにきちんと向き合い考えることが大切であると主張したこれは他社にはない切り口で興味深かった。また朝日、読売それぞれ4日「国際法支配の確立を目指せ」、「秩序維持へ国際協力が急務だ」との見出しを掲げ、国際秩序が損なわれていることを言及している。朝日は、自国の安保理常任理事国入りにとらわれず、もっと広い視野から国連の地位向上を呼びかけるべきだと訴えた。一方で読売は、国連の組織と制度の改革が急務であるとし、日本の常任理事国入りを目指す姿勢を支持した。このことから各社の論調の違いが見て取れた。

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