2015年1月22日木曜日

与党圧勝 民意は反映されたか



 (論評対象:20141214日付朝刊~17日付朝刊)
執筆者 ジャーナリズムスタジオ1年A班 山本舜也


第二次安倍内閣の解散に伴い、12月14日に衆議院総選挙が行われた。自民党は政権奪取した前回の選挙と議席が変わらず、公明党は微増した結果、自公は全体の3分の2以上を占める326議席獲得した。野党では海江田万里代表が落選した民主党を始め、維新の会なども存在感を示せず、与党とは対照的にふがいない結果となった。その一方で共産党が13議席伸ばす躍進をみせた。


朝日、毎日、読売の大手3紙は選挙当日からその後3日にかけて大型社説を掲載するなど、大々的に報道した。14日は3紙ともに争点を見直し、有権者に投票を促す内容であった。市民の目線に立っていて評価できる内容であった。

しかし新聞社の努力もむなしく投票率は過去最低の52.66%だった。朝日、毎日ともに15日付の社説で、安倍政権が大多数の人々に信任を受けたわけではないと釘を刺し、自民党の政略的なやり方に批判の色を示した。また毎日は自民党がやや勢力を落としたことにも触れていて、鋭い視点であった。一方読売は15日付社説で、与党の支持は「『野党よりまし』という消極的な面が強い」としながら、有権者は「当面は、首相に安定した体制で国政運営を託そうという判断をしたと述べ、他2紙とは正反対の立場をとった。

また民主党の不振について朝日、毎日は16日付、読売は17日付の社説で触れている。各紙とも海江田代表に代わる新代表について言及する中、読売は「党内で決まったことに従う文化が欠けている」と民主党の体質を指摘し、抜本的な改革を求めた。野党批判に偏りがちな読売であるが、この指摘は的を射ていた。

その他の特徴として、3紙共に世間の関心を捉えようとする工夫がみられた。朝日は14日付朝刊4面で女性候補者数に焦点を当てた記事や、16日付朝刊39面の若者に注目した記事を掲載し、今後の課題を掘り下げていた。毎日は16日付朝刊で政治団体「支持政党なし」が北海道の比例ブロックで10万票以上を得たと報じていて、今回の総選挙の結果を皮肉るユニークな記事だった。読売は14日付の朝刊6面の経済について1面分割かれていた記事を始め、アベノミクスを推していこうという意思が読み取れた。さらには各紙ともにカラーで写真や似顔絵、表や図を用いて選挙結果を解説していたので、読者のスムーズな理解に繋がっていた。



解散総選挙は日本の将来を左右する重大なイベントであり、世間の大きな関心事でもある。情報量が膨大で複雑な問題を抱えているが、各社読者に分かり易く伝える工夫が見て取れた。また、与党信任に関して意見が分かれたが、これも新聞というメディアが健全な証拠だろう。来年はTPP(環太平洋経済連携協定)や集団的自衛権、原発再稼働、沖縄基地問題など国論を二分する問題が山積している。安倍政権が継続すると決まった今、各紙は先を見据えて十分な論争を重ね、政権を注視する役を果たしてほしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿