2015年1月20日火曜日

2014衆院選報道 各紙の特色に注目


(論評対象:20141214日付朝刊~17日付朝刊)

横浜国大ジャーナリズムスタジオB班 足立冬馬

 

 20141214日に投開票が行われた第47回衆院選は、自民党と公明党から成る与党が議員定数の3分の2を超える326議席を獲得し、勝利した。朝日、毎日、読売の大手3紙は連日社説を掲載し、多くの紙面を割いてこれを報道した。

 まずは、選挙翌日である15日の各紙朝刊1面の見出しに注目したい。朝日は「自公大勝 3分の2維持」、読売は「自公圧勝 320超」となっており、ともに与党圧勝の報道をしている一方で、毎日は「自民横ばい 公明堅調」としており、他の2紙とニュアンスの異なる見出しを付けた。この見出しに、各社の選挙結果に対する評価の違いが出ていた。

次に各紙の特徴的な記事を挙げたい。朝日は16日付朝刊5面で、当選者の各政策に対する立ち位置をカラーの図で示しており、一目で理解しやすい紙面となっていた。毎日は16日付朝刊10,11面で選挙結果の分析を掲載しており、投票率と自民党の得票率の推移や野党が一本化した選挙区の結果など細かいデータまで載せられていた。また10面には、映画監督としてすべてを取り仕切る安倍首相と、各党首のコメントが描かれた風刺画が掲載された。今回の選挙結果が一つの絵の中に凝縮して表現されたもので、インパクトがあり理解もしやすかった。また、読売15日付夕刊10,11面の、一際大きく描かれた安倍首相が日本列島をつかんでいる図は、今回の選挙における自民一強を印象付けるものであり目を引いた。このように各紙特集面に非常に工夫を凝らしており、興味をそそられた。

 毎日は16日付朝刊社説で民主党の敗北に言及し、若手を代表に選び新たなリーダーを育てていくのも党の再生の一手段なのでは、との提言をした。これは他社には無い視点の提言でありよかった。

 朝日は17日付朝刊3面で、安倍首相が街頭演説した各地で集団的自衛権にどの程度言及したかを示す表を掲載した。安倍首相が演説の半数以上で安全保障について触れていないことを指摘しており、読者に対して印象付けるための工夫が見られた。また同日付朝刊37面では、小選挙区の当選者がどれほどの有権者から1票を託されたのかを「託され度」と名付けて算出したことに触れた。他社には無い、関心を引き付ける試みであり評価できる。

 読売は16日付朝刊の特集面にて、第28回(1958年)から今回までの衆院選の主要な争点と自民党の得票率、そして当時の首相をまとめた図を掲載した。歴史の中で自民党が長く政権を担ってきたことを示す、非常にインパクトの大きい紙面であった。

各紙ともに情報量が膨大な中で、効果的に図やイラストを用いてわかりやすく示す工夫があり、非常によかった。一方で、経済問題は複雑で理解しにくいものが多いので、選挙の争点となった主要な経済問題については各紙詳しい解説や専門用語の説明が欲しいところだった。

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