2014年10月30日木曜日

新幹線50周年 安心と安全をこれからも


                                                     (論評対象 2014929日付朝刊~109日付朝刊)

              横浜国大ジャーナリズムスタジオB班 足立冬馬

 2014101日をもって、JR東海道新幹線が開業から50周年を迎えた。朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の大手3紙は各紙とも社説で取り上げるなど、新幹線50周年を1つの大きな節目として扱っている。3紙ともに新幹線の事故における死傷者数が0であることを中心に新幹線の安全性を高く評価しながらも、現状に満足することなく更に高みを目指していくべきだ、という主張が共通して読み取れた。

 朝日新聞はまず929日付朝刊の(20.21面)で二面にわたり、0系からN700系までの歴代の新幹線が載っている見開きのカラー写真を掲載した。非常にインパクトが大きい写真なので目に止まりやすく、新幹線の長い歴史を一目で実感でき、印象に残る紙面だった。

 また、朝日は1057日にかけて「夢の超特急50年」(上、中、下)の連載を行った。5日付朝刊の第1社会面(35面)「鉄道の母国 たたえた技術」では、鉄道発祥の地である英国も日本の新幹線から技術を学んでいるということを挙げ、日本の技術力の高さを述べた。6日付朝刊34面「210の命 死者ゼロの礎」で、新幹線建設の際に210人の犠牲者が出たことを忘れてはならない、と説いている。7日付朝刊34面「狭まる日本 幸せ運ぶ」では、新幹線の利用者のエピソードや大阪の企業が東京に流出していった話などを載せており、新幹線が日本の交通に与えた影響の大きさを説いている。

毎日新聞では、930日付夕刊2面に新幹線建設工事の際の210人の殉職者について、遺族の声を交えてメイン記事で詳しく取り上げている。我々が快適に利用している新幹線を複雑な心境で眺めている人もいるのだということ、そして尊い犠牲の上に今の安全な新幹線が成り立っているのだ、ということを認識させる記事であった。

毎日も、930日~102日にかけて「駆け抜けた半世紀」(上、中、下)の連載を行った。毎日の連載は、「新幹線は人に対してどう影響したのか」というコンセプトの下で個人談を多く取り上げており、共感しながら読むことができた。

 また、101日付朝刊の社説では、新幹線は機械的な技術のみではなく、素早く清掃を終える清掃員などの人の手があってこそ正確で安全な運行が可能になっている▽新幹線の更なる進化のためには人口減少や高齢化などの社会問題にも柔軟に対応していく必要がある、という旨を述べており、これからの日本社会に適応していく手段の一つとして納得のいく指摘だった。

 読売新聞は、101日付夕刊の1面で新幹線50周年について取り上げており、出発式の写真を、50年前の開業当時の白黒のものと今年のカラーのものと2つ並べて掲載しており、歴史を感じさせる上手な写真の使い方であった。しかし、朝刊しか新聞をとらない人が多いことも鑑みると、101日付朝刊に掲載しなかったことで、新幹線50周年のニュースを伝えきれていないのでは、と思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿